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自動車産業インフォメーション

2021年6月15日

大型車メーカー各社 サービス工場間の連携強化へ

大型車メーカー各社は、系列拠点網のどこであっても顧客車両の点検・整備に対応できる仕組みづくりを進めている。三菱ふそうトラック・バスが支店ごとに異なっていた入庫管理方法や用語などの標準化に乗り出したほか、UDトラックスは顧客がパソコンなどで全国のサービス工場の空き情報を簡単に確認できるシステムの構築に着手した。

輸送効率や車両の稼働率の向上支援など車両性能以外の付加価値で差別化が欠かせない中、サービス工場間の連携と情報共有を強化することで、アフターサービスの質向上につなげる狙いだ。

三菱ふそうは、全国の直営サービス工場で業務の標準化を進める。これまでのアナログの入庫管理では、支店や地域によって使用する用語や作業工程などにバラつきがあった。

入庫予定やメカニックごとの作業管理を行う「デジタル管理ボード」を導入することで、全国のサービス工場で行う作業工程などを統一。顧客がどのサービス工場に入庫しても対応できる環境整備を急ぐ。

いすゞ自動車も、5月に発表した新たな中期経営計画の一環で国内販売ネットワークの連携を強化する。「顧客の事業が広域化しており、担当拠点以外でもきっちりと車両の状態を把握して対応できるようにしたい」(池本哲也常務)とし、地場販売会社との連携も含めて検討していく。

ただ、課題も少なくない。個別の整備履歴など車両データを共有するシステムの構築や、共有すべき情報の選定なども必要だ。いすゞの場合、地場販社も多く、資本をまたいだ仕組みやルールづくりが欠かせない。

一方、拠点間での相互入庫を進める環境が整っているのが、4月にいすゞの子会社となったUDトラックスだ。保有客の75%をカバーする直営拠点だけでなく、地場販社も含めて車両データの整備履歴など共有する仕組みができ上がっている。

さらに準備を進める新たな顧客向けポータルサイトが完成すれば、顧客がサービス工場の空き状況を確認して都合の良い拠点、日時に入庫予約できるようになる。「配送先が全国各地になる事業者は多く、できるだけ時間を有効活用して整備したいという要望は確実に高まっている」(丸山浩二国内販売事業最高責任者)という。

日野自動車は、7月に首都圏をカバーする直営販社、東京日野、千葉日野、横浜日野を合併し、南関東日野を立ち上げる。

首都圏の運送事業者などは、3都県をまたいで事業を展開するケースが多く、これまで3販社とそれぞれ取り引きする必要があった。3社の営業、アフターサービスを一体化させることで広域化する顧客の利便性と満足度の向上につなげる狙いもある。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞6月10日掲載