2021年5月20日
住友ゴム 全国のタイヤ販売店でメンテナンス作業強化
住友ゴム工業が、タイヤ販売子会社でのメンテナンス作業体制を強化し、ディーラーなどからの受託量底上げを図っている。CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)の進展や将来的な自動車保有台数の減少などにより、国内市場におけるタイヤ売り切り型ビジネスモデルの頭打ちは避けられない。
作業場を備えた全国約500の拠点網を生かしてタイヤ取り付け・交換での入庫量を拡大し、サービス収益向上につなげたい考えだ。
同社は全国に10社のダンロップタイヤ販売会社を有し、営業所と直営タイヤ販売店を合わせた数は約500拠点に上る。従来、販社業務は取引先となるタイヤ専業店やディーラー、用品店、整備工場などへの納入が中心で、タイヤ取り付け・交換は小売りの現場が担うケースが大半だった。
こうした中、河瀬二朗執行役員タイヤ国内リプレイス営業本部長は「販社の役割も変化する時期に差し掛かっており、今後は作業体制を強化していく方針で議論を進めている」と話す。
背景にあるのは、タイヤ空気圧監視システム(TPMS)をはじめとするセンシング技術や、そこから得られるデータを活用したソリューション領域の成長戦略だ。
同社を含めタイヤメーカー各社は、販社を通じて既に商用車向けなどでセンシング機器の組み込みに着手している。将来的に乗用車にまでセンシング技術が普及しても、監視機器の取り付けやデータ収集は販社が担うことになると見込まれる。
これまでも各地域の販社営業所には一定量の入庫があったが、今後は受け入れ体制をさらに拡充し、市場環境の変化に備えるとともにサービス収益の向上も目指す方針だ。タイヤ関連作業は多くの場合整備士資格を必要としないことから、設備や人材の面でも十分に対応可能だという。
作業キャパシティーを高めることで、ディーラーなどからの受託量拡大も視野に入れる。「企業統合などで新車販売店の整理が進めば、地域の保有台数に対する作業場数は減少する。
とりわけ都市部などでは、車検・整備などに追われるディーラーからタイヤ販社営業所へ入庫を振り向ける動きも広がるのではないか」(同)として、ディーラーがタイヤ関連作業を外注する際の選択肢としても存在感を高めたい考えだ。
カテゴリー | 白書・意見書・刊行物 |
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対象者 | 一般,自動車業界 |
日刊自動車新聞5月11日掲載