会員向けクルマ
biz

INFORMATIONクルマの情報館

自動車産業インフォメーション

2021年5月20日

インポーター各社、EV販売で工夫 車種拡充や購入後サポートに力

インポーター各社は、電気自動車(EV)の販売増に向けて車種ラインアップの拡充や購入後のサポートに本腰を入れている。より多くの人が手にしやすい価格設定やEV所有時の不安を払しょくする取り組みを展開することで拡販につなげたい考え。

日本自動車輸入組合(JAIA、ティル・シェア理事長)も業界団体としてEVの普及を後押しする狙いで、ユーザー向けイベントの開催を計画。国内のEV市場で外国メーカー車の魅力や存在感を高めていく。

インポーター各社では、EVを所有する際の不安を払しょくすることに力を入れている。メルセデス・ベンツ日本(MBJ、上野金太郎社長、東京都品川区)は、新型「EQA」の投入に合わせて最短1年から契約できる新たな月額利用プラン「メルセデス・スタイル」を導入した。

残価保証するプランで、将来の車両価値に対する不安感を取り除いて販売拡大につなげる。

アウディジャパン(フィリップ・ノアック社長、東京都品川区)は、1月からEV購入者を対象にエンジン駆動モデルの貸し出しプログラムを開始している。MBJもEV向け保証プログラム「EQケア」で、最長1週間の無料貸し出しサービス「シェアカープラス」を提供している。

長距離ドライブなどの際に、航続距離や充電施設の有無などでEVの利用に不安を感じるユーザーをサポートする。

価格面では、アウディジャパンやMBJ、テスラモーターズジャパンなどが従来よりもエントリー価格を下げたモデルを投入した。価格帯を広げることで顧客の購入選択肢を増やし、新規顧客の獲得に結びつける狙いだ。

グループPSAジャパン(木村隆之社長、東京都目黒区)では、地方でEVが「セカンドカー」需要を取り込む役割を果たしているという。

特にBセグメントに属するプジョー「e―208」は、小型で取り回しがしやすいボディーサイズであることもユーザーに受け入れられて「新規需要の獲得につながっている」(木村社長)。

インポーター各社からEVモデルの投入が相次ぐ中、JAIAは「輸入電動車普及促進プロジェクト」を立ち上げ、輸入車の電動モデルの販売増や認知度向上を支援する。

6月10日には、最新のEVモデルを展示するなどのイベントを大手町三井ホール(東京都千代田区)で開催する予定だ。充電インフラもさらなる整備や充実化が必要とし、政府などの支援を得ながら官民一体で取り組む考えを示している。

JAIAの統計によると、2020年の輸入EV販売台数は、前年比135・0%増の3238台で2年連続増加した。現在、日本で取り扱っているEVのラインアップは、21年5月末現在で8ブランド15モデルを数える。

インポーター各社による拡販施策などが功を奏してEV販売台数は増加トレンドにある。今後、フォルクスワーゲン(VW)やフィアットからもEVの新型モデル投入が予定されており、国内の輸入EV市場の拡大に注目が集まる。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞5月15日掲載