「平成23年度税制改正要望に関する意見」
平成22年6月30日
一般社団法人 日本自動車会議所
○複雑で過重な自動車関係諸税の簡素化・軽減
自動車ユーザーの負担する自動車関係諸税は9種類に及び、道路特定財源の一般財源化により課税根拠を失った税は廃止するなど、その簡素化・軽減のための抜本改革を要望します。
◇「当分の間」上乗せされた税率(暫定税率)の速やかな廃止
◇自動車取得税の廃止
◇自動車重量税の廃止
◇燃料税(揮発油税、軽油引取税等)の抜本的見直しとTax
on Taxの解消
◇国際的な水準である軽自動車の負担を基準とした保有税の見直し
=要望理由=
【複雑で過重、税の基本原則に矛盾】
自動車関係諸税は、自動車の取得・保有・走行の各段階で国税、地方税を合わせて9種類と多く、極めて複雑な体系になっています。しかも自動車ユーザーが負担する税額は約8兆円にも及び、平成22年度の租税収入全体の10.7%を占めています。
また、自動車関係諸税は新税の創設と増税が繰り返され、自動車の取得・保有段階における税負担は、欧米の先進国の2倍から38倍にも達し、極めて過重になっています。
さらに、消費税に加えて自動車取得税が課せられる二重課税、そして揮発油税等(ガソリン税)に消費税が課せられるTax
on Taxなどの問題も抱えており、自動車関係諸税は税の基本原則である「公平・簡素・中立」に照らして大きな矛盾を抱えています。
【一般財源化により課税根拠を喪失】
なかでも自動車取得税、自動車重量税、燃料税は、「受益と負担」の原則の下、道路特定財源として国が法律と国会において「使い道を道路整備に特定する」と約束し、それを信じてきた自動車ユーザーが、何十年にもわたり、過重な税負担をしてきたものです。しかも、緊急に道路を整備する必要から、30年以上にわたり本則税率を約2倍も上回る暫定税率が課せられてきました。
しかし、道路特定財源制度は平成21年度に廃止され、自動車取得税、自動車重量税、燃料税は一般財源化されました。一般財源化により、道路整備目的という課税根拠は喪失しており、本来国民が公平に負担すべき一般財源について、自動車ユーザーだけが特定の負担を強いられていることになり、「税負担の公平」の原則にも著しく反します。
特に、暫定税率については、「平成22年度税制改正大綱」では、「現行の10年間の暫定税率は廃止する」としつつも、一方で「当分の間、現在の税率水準を維持する」として、課税根拠を失った暫定税率が形を変えて温存されています。よって、この「当分の間」として上乗せされた税率の速やかな廃止を求めます。
【国際水準に見合った税体系の構築】
抜本改革にあわせ、自動車関係諸税につきましては取得・保有・走行の各段階で1種類に簡素化し、ユーザーの負担軽減を実現すべきです。その際、保有税(自動車税および軽自動車税)については国際的な水準である軽自動車の負担を基準とするなど国際的水準に見合った税体系に再構築すべきと考えます。
○環境自動車税の創設には反対
総務省が提案している「環境自動車税」は、自動車重量税(国税)と自動車税・軽自動車税(地方税)を地方税として一本化しようとするものですが、課税根拠を失い廃止されるべき自動車重量税の存続を前提としているため、創設には反対します。
=要望理由=
道路特定財源の一般財源化により、自動車重量税は、道路整備目的という課税根拠を喪失しました。また、一般財源は本来、国民が公平に負担すべきものですが、自動車重量税の一般財源化によって、自動車ユーザーだけに特定の負担が強いられているという、「税負担の公平」の原則にも著しく反する状況が生じています。
しかし、総務省が提案している「環境自動車税」は、課税根拠を失い、「税負担の公平」の原則にも著しく反し、廃止されるべき自動車重量税の存続を前提としています。
さらに、「平成22年度税制改正大綱」では、「車体課税については、簡素化、グリーン化、負担の軽減等を行う方向で抜本的な見直しを検討」とされているにもかかわらず、その決定に逆行する方向で検討されています。よって、環境自動車税の創設には反対します。
○地球温暖化対策税の創設には総合的な検証が必要
環境省が提案している「地球温暖化対策税」は、広く化石燃料に課税するものですが、化石燃料に依存せざるを得ない運輸業界(輸送、バス、タクシー等の各業界)への影響が極めて大きく、旅客および貨物の輸送という社会インフラの一翼を担う運輸業界の負担は、ひいては国民生活にも大きく跳ね返ってくることが懸念されます。
また、複雑で過重な自動車関係諸税の簡素化・軽減が図られないまま、地球温暖化対策税を新たに導入することは、自動車ユーザーの負担をさらに重くするばかりであるため、その導入の議論と並行して現行の自動車関係諸税の簡素化・軽減の議論も行われるべきと考えます。
地球温暖化対策税の創設にあたっては、広く国民各層の理解と合意を前提とし、導入効果と影響、既存の地球温暖化対策の有効性、産業界のこれまでの取り組みと成果などを勘案し、総合的な議論と検証を踏まえた慎重な検討が必要です。
=要望理由=
CO2(二酸化炭素)は、あらゆる産業、さまざまな経済活動、多様な生活の場面で排出されています。複雑で過重な自動車関係諸税の見直しを行わないまま、広く化石燃料に課税する地球温暖化対策税の導入が検討されている一方、道路特定財源の一般財源化に伴い、課税根拠を失ったガソリン税等の燃料税について、地球温暖化対策税として一本化する提案も出ています。
いずれにしろ、CO2の削減は国民すべてが協力して実施していくものである以上、地球温暖化対策税の新たな導入により、自動車ユーザーだけがより重い負担を課せられたり、自動車ユーザーだけに負担を求めたりするような制度は、到底受け入れられません。
わが国の地球温暖化対策は環境と経済の両立を大前提としており、地球温暖化対策税の創設にあたっては、そのような見地に立ち、広く国民各層が理解し納得できるまで議論を十分に尽くす必要があり、慎重な検討が求められます。特に、デフレから脱却できないでいる現経済情勢下では、経済成長や国際競争力、個人消費等を強力に後押しする政策がまず優先されるべきであると考えます。
<提出先>
国土交通省総合政策局政策課
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